気温の逓減率とフェーン現象

                         文:上田

気温の逓減率(ていげんりつ)

山は平地よりも気温が低いと言いますね。もちろんそれは事実です。大気圧が低くなっていくために気温が低下します。しかし具体的にどれぐらい低いのでしょうか。高度に対してどれぐらいの割合で気温が下がるのか、それが気温の逓減率です。

気温の逓減率: 0.65℃/100m

です。とても大事な知識です。つまり0mを平地とすると標高1000mの山は平地よりも6.5℃も気温が低いわけです。我々がよくテントを張るような標高2500mだと単純計算で16.25℃も気温が引くなってしまうのです!しかし上空は寒気の流入などの要素が別で絡んでくるのでそんなに簡単な話ではありません。。。

乾燥断熱減率と湿潤断熱減率

フェーンの話をする前にこの乾燥断熱減率と湿潤断熱減率の話をしなくてはいけません。以下で説明していきます。

ここでとある、ある程度の水蒸気を含んだ空気塊を考えます。このような空気塊は実際にもあり得る話ですよね。このような空気塊が何らかの理由で上昇したとすると上空は気圧が低いので空気塊が周りに対して仕事をして温度が低下しますよね。(ちなみに気体は熱伝導が悪いので普通気象学では断熱変化したと考えます。)

この時っ!気温の低下する割合が1℃/100mなのです。こことても重要。これが乾燥断熱減率です。

乾燥してないじゃないか、初めにある程度の水蒸気を含むって言ったじゃないかという意見もあるでしょうがまずは最後まで説明します。次に説明するのが湿潤の方です。

先ほどの続きで気温が低下しながら上昇する空気塊を考えます。気温が低下すると,その空気塊はいつか露点に達して中に含む水蒸気が気体の水、つまり雲の粒などに姿を変えますよね。これ以降空気塊は液体の水を発生させながら上昇するわけです。

この時っ!気温の低下する割合が0.5℃/100m になります。 これも重要

なぜ減率が落ちたのかと言うと、水が気体から液体に変化するときに潜熱と言って熱を出します。このために空気塊を温めてしまうのです。乾燥と湿潤の違いが分かっていただけますでしょうか。

フェーン現象

やっとフェーンの話です。 湿潤な空気が山を越えて反対側に吹き下りたときに、風下側で吹く乾燥した高温の風のことを「フェーン」と言い、そのために付近の気温が上昇することを「フェーン現象」と呼びます。(気象庁より)なぜ風が山を上がって下りてくるだけで昇温するのかが以上の理屈で説明できます。

始め20℃だった空気塊が2000mの山を越える時の一例です。1000m地点で露点に達したとしています。空気塊が山を下りて行くときも同じように温度が上昇します。

ほんの一例

このようにしてフェーン現象は起こるのです。夏に以上に高温になっている地域ではフェーン現象が絡んでいるケースが少なくありません。もちろん北海道でも起こりえます。そんなに珍しい現象でもないんですよね。

以上です!

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