美蕃登(初段) 完登しました!!!

文責:萩原真哲

美蕃登(初段)完登しました!!!

2022/03/27、美蕃登(初段)を完登しました。
北山公園で外岩でのボルダリングデビューをしたのは今年の2月中旬。初めて実物を見たときは
「登れるのはまだまだ先だなあ。」
という印象だったのですごくうれしいです!

この記事では、私が北山公園に通うようになった経緯と、この課題に取り組む過程で感じたことなどを自由に書かせていただきます。ほとんど自分語りのようになってしまうかと思いますが、「神戸大学山岳部にはこんな人もいるんだなあ」という感じで読んでいただければと思います。あと少しでもクライミングに魅力を感じていただけると嬉しい…。

ボルダリングを始めた経緯

動機について、この記事を書き始めるまではいろいろ脈絡のあるものを書こうと思っていたのですが、いざ書き始めてみると
「ジャミングおもしろい!!やってみたい!!!」
という好奇心、これに尽きるということに気づかされました笑。
この好奇心と、近場のボルダ―群である北山に見つけた美蕃登という理想的な課題、OBの方が山岳部に譲ってくださったクラッシュパッド、2月3月に実施予定だった合宿の中止などの要因が合わさり、私の北山公園通いが始まりました。

美蕃登

初めての北山公園には部員の城間君がついてきてくれました。お昼まではオ・モロイヤロック、初級スラブ、コックロックなどに触って遊びました。
ひとしきり花崗岩のガビガビに文句をたれたり、課題をクリアする喜びの共有を楽しんだのち、いざ美蕃登を擁するオノゴロ岩へ。

オノゴロ岩(東面)

まず最初に思ったのは、この岩、予想以上に大きい!このクラック、頭がすっぽり入ります。そして、ホールドも豊富!!この岩がボルダーとして開拓されたのは2017年で、とても新しいボルダーなのですが、そんなに最近まで登られていなかったのが不思議なほど充実した岩です。
美蕃登はこのクラックの一番低いところからスタートし、クラック沿いに上まで抜けるという課題。さっそく触ってみますが、手も足も出ない笑。もともと室内でのボルダリングでも3級が登れるかどうかといったところだったので覚悟はしていましたが、あまりにも登れるイメージが浮かばず、思わず笑ってしまうほどでした。しかし初めてのジャミングはすごく楽しい!手も足も出ないけれど、気づけばあれこれと触ってしまう。予想に違わず非常に魅力的な課題です。

バラシ

さて、美蕃登はやはり厳しく完登は難しいと感じられましたが、北山公園でのボルダリングはとても楽しく、お昼までは5級から1級の課題を触り、午後になったら美蕃登を研究するという形で、週2回程度通うようになります。美蕃登以外の課題についてはまた個別に記事にしていきたいと思っているので(遅筆になるかと思いますが…)、ここでは美蕃登についてのみ、書かせていただきます。
一番最初に解決しなければいけないのは、足をどう動かしていくかという問題でした。前半はクラックが広く、これといったホールドがないので、足をどのように固定するかが重要になります。選択肢はおそらく大きく分けて2つ。クラックの奥まで足をねじ込みフットジャムを先行させるか、両手と両足をそれぞれ反対方向に突っ張って途中でニーバーを決めるか。後者はかなり筋力を要求されるので最初は避けていたのですが、前者ではルーフ抜けに向けて手を上部に伸ばす際、上体をどうやって持ち上げていいかわからず、後者のムーブで進めることに決めました。
ニーバーを使うムーブを選択すると、この課題は大きく3つの部分に分けることができます。スタートからニーバーを決めるまで、ニーバーから手をフェースまで伸ばす部分、そしてルーフを抜けてフェース下部のカチに立ちこむまで。
まずは3つの部分それぞれでムーブを模索し、固めることを目指します。


以下、ムーブについて個人的で細かい話が続きます。

スタートからニーバーを決めるまで。ここは正直筋力勝負かな、と思っていたのですが、繰り返し取り組んでいると細かなコツがあることに気づきます。まず手足で突っ張るとき、肘を伸ばし腰を岩に近づけるイメージでしっかり持ち上げてあげると、かなり楽に姿勢を安定させられるようになりました。逆を言えばこれができていないとこの姿勢を維持するのがかなりしんどい…。そしてニーバーを決めに行くときには、両手をできるだけ左に持っていくことと、右足は左足から離してあげることが重要でした。ニーバーを決める際は腰を左足が置いてある場所に寄せてあげなければならないのですが、先述の2つができていないと、重心を左足に近づけ、それを維持することが難しくなってしまうのです。
次に手をフェースに伸ばす部分ですが、ここではフィストジャムが大活躍します。ジャミングできる場所を探し、そのジャミングを維持できる範囲ではどこまでの動きができるのか、あれやこれやと考えるのが楽しい。ポイントとなるのは右足をスタート位置付近でジャミングすることと、ニーバーの位置を少し上にずらしてあげることでした。これによって姿勢が安定し、手をフェースに持っていくことができます。
最後にルーフを抜ける部分。ここは、クラック左側の細長い水平なカチをつかむかどうかで動きが大きく変わります。私は個人的にクラックからあまり離れたくなかったので、このカチをつかまない方針でムーブを考えました。クラックのすぐ左わきにある丸いカチを左手で持ち、右手のフィストジャムをより深いところに決めて、左足を水平カチに乗せる。ここから上体をフェイスに持っていき、右手を肩の後ろでプッシュして足を上げるのですが、これが意外と繊細。右足は左方向に流れないようにどこかに固定し、左足で持ち上げた左半身はできる限り壁に寄せてあげるようにしないと、右手をうまくプッシュに持っていけません。私はこの部分を十分に研究することなくつなぎに取り組み始め、のちに後悔することとなります…。

フットジャム(左)とニーバーまでの動き(右)

美蕃登 完登

ムーブが大体固まってくるころには、3級~1級の課題を散々触った後でも、美蕃登でのバラシを余裕をもってこなせるようになっていました。こうなってくるとやっと美蕃登を完登する自分の姿がイメージできるようになってきて、緊張感が増してきます。
最後の2日は最初からオノゴロ岩へ向かいました。うち1日は、フェースに向かう直前の右手の位置が低く、失敗。この日は午後に予定があったため、右手の位置を再確認し、帰宅。この日の敗退は予想の範囲内でしたし、つなぎの自信も付けられたので、この時は前向きな気持ちでいました。
そして3月27日。今日こそは完登するぞと意気込み、入念なウォーミングアップののち、少し不安のあった最後の部分だけバラシで確認し、いざこの日一発目のつなぎに挑みますが、失敗。フェイスに乗り込むところで体を持ち上げられず、落ちてしまいました。実はこの部分、バラシで取り組む時間が他に比べて短く、反省が足りていませんでした。バラシでは無意識でできていた動きも、つなぎの中で疲労した状態ではそう簡単には再現できない。そんな当たり前のことをこの段階で再確認します。幸い完登する気でいたので動画は撮影してありました。動画を見て改めて反省します。どうやら右足が外れた拍子に重心が落ち、そのまま復帰できず落ちてしまったようです。右足に注意して2発目。またも同じところで落ちます。今度は体が壁から離れすぎているようです。少し時間をおいて、3発目。またも失敗。前中半でもたつき体力が切れてしまいました。体力、時間的にも次がラスト、というところまで追い込まれます。これといった理由はないのですが、小さなアレコレの積み重ねで、どうしてもこの日完登したいという思いがあったので、ラストトライまで時間の許す限り間をとり筋力を回復させました。その間あたりを探検したり、お菓子を食べたり、緊張を紛らわすため通りすがりの女性に道案内を押し売りしたり…。1時間半ほど休憩をとり、4発目。

美蕃登(初段)完登!!
核心となるフェイスへの乗り込みの直前に声を出したのが効果抜群。息が苦しくなってきたところで改めて力を入れなおし、集中することができました。
この日は朝から曇天だったのですが、完登したときには快晴となっていて、
「むしろ朝のうちは失敗しておいてよかったなあ。」
などと、考えてしまいました。

まとめ

美蕃登、楽しかった!!!!
明瞭なクラックのライン、ジャミング、そして初段という自分にとって挑戦的なグレード、魅力がいっぱいの課題でした。強くあこがれるけれど難しい目標。それを達成するために越えるべきハードルを見極めて、それを一つずつ超えていき、目標を自分の中に収める。この過程の楽しさを存分に味わわせてくれた存在となりました。
また、かたわらに取り組んだほかの課題も魅力的なものばかりで、ホールドを探し一からムーブを考えたり、岩や課題の名前に驚かされる、外岩ならではの楽しさを存分に味わいました。
まだまだ興味惹かれる課題があふれているので、これからも北山公園通いを継続します。最終的には北山公園最高グレードを与えられたアゲハ(3段)の完登を目指したい…!!

開拓者の方々、また非常にわかりやすいトポを制作してくださった方々に感謝申し上げます。これからもお世話になります…!

北山公園 TOPO of Kitayama Koen Bouldering Area  version3.08
(https://drive.google.com/open?id=1EIxo3INY6ZYweOeIKz_6-mqP5qzo4PEg)

神戸大学生へ

ここからは神戸大学山岳部への勧誘です。
ボルダリングは部活動ではありません。あくまで私が個人的に取り組んでいるだけです。
しかし、神戸大学山岳部部室には、ボルダリングを行うのに必要な安全用マットやクライミングシューズ、さらに、トレーニング用の壁があります。また、部として行っている活動にアルパインクライミングというものがあり、ボルダリングとは異なりますが、ロープを使って岩壁を登る体験をすることが可能です。
この記事を読んで少しでも山岳部に興味を持ってくださった方、質問だけでも構いませんので、まずはtwitterのDMや公式ラインなどにご連絡ください!
また、4月中は毎週末新歓ハイキングやクライミング体験会を実施します。そちらにもご参加いただけるととてもうれしいです!!

(新歓の日程など→https://ackuweblog.wordpress.com/2022/03/18/%e6%96%b0%e6%ad%93%e7%99%bb%e5%b1%b1%e8%a9%b3%e7%b4%b0/)

部室の様子



あと個人的に一緒に北山公園に通ってくれる仲間が欲しい…。ボルダリングに興味があるよって方、山岳部も検討してみてください…。